「鬼畜の家」石井光太(幼児虐待死事件のルポ)

2024年6月6日木曜日

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こんにちは、Nami(@nami_mercaru)です。

親が子どもを虐待して亡くならせてしまう事件が後をたちません。虐待が関わる衝撃的な3つの事件を取り上げた石井光太さんの「鬼畜の家」という本を読みました。


■石井光太さんの本

ノンフィクション作家の石井光太さんの本を読むのは、「虐待された少年はなぜ事件を起こしたのか」、「43回の殺意」に続いて3作目。貧困や子どもの関わる事件に関する著書が多く、特に私は自分が母親であるという立場から、子どもが関わる作品を手に取ることが多いです。

過去に読んだ2冊もかなり衝撃的でしたが、今回の本はさらに上を行くほどの内容でした。同時期に起きた、親が我が子を虐待死させてしまう、ショッキングな3つの事件を取り上げています。

石井光太さんの他の著書もそうだったのだですが、プロローグの文章が非常に巧みで引き込まれます。

直に加害者である親に話を聞くと、彼らはそろって子供へのゆるぎない愛情を口にする。子供は自分にとって宝だ、親心を持って手塩にかけて育ててきた、家族はみんな幸せだった、と言うのだ。
彼らが法廷や著者の前で異口同音に語った言葉ーー愛していたけど、殺してしまいました。
ただし、愛していた、にはもう一言付け加えられる。「私なりに」

■取り上げられている3つの事件

(1) 厚木市幼児餓死白骨化事件

2014年5月に神奈川県厚木市のアパートで、幼い子どもの白骨化した遺体が見つかった。亡くなったのは当時5歳の男の子で、住宅地の中でゴミで溢れかえった部屋に7年も放置され、誰にも気づかれることがなかった。

家出した母親に代わって男の子の世話をしていたのはトラック運転手の父親。しだいに育児を放棄し部屋の扉に粘着テープを貼り外出するようになり、男の子は餓死してしまった。

(2) 下田市嬰児連続殺害事件

2014年10月、静岡県下田市の民家で二人の生まれて間もない赤ちゃん(嬰児)の遺体が発見された。逮捕当時28歳だった母親は、高校生の頃から10年あまりで8人の子を妊娠していて、中絶できなくてどうしようもなく産んでしまった2人の子を、出産直後に殺してしまい、天井裏と押し入れに隠していた。

(3) 足立区ウサギ用ケージ監禁虐待死事件

2013年3月頃、東京都足立区に住む夫婦が、3歳の次男をうさぎ用ケージに入れて殺害。長女や長男と一緒に遺体を森に埋めた。そして、その1週間後に6人目の子どもを出産。(事件が報じられたのは2014年6月頃)

夫婦は生活保護を受けて暮らしており、次女も虐待。また、児童手当や保険金を詐取したり無免許運転など複数の罪名で逮捕起訴された。


この中で、3つ目のウサギ小屋ケージの件だけは、ニュースが衝撃的すぎて私も覚えていたのですが、他の件については記憶には残っていませんでした。

でも、本を読んでいくと光景が目に浮かぶような描写、関係する人物の発言や心情などから臨場感があふれてきて引き込まれ、受ける衝撃がすごい。同じ地球上の、同じ国に生まれ育ち、ここまでひどい世界があるのかと...。

 

■犯人たちの育ちの異常さ

読んでいくとわかる犯人たちの育った家庭環境が、揃いも揃ってありえないほどひどい。本にも書かれているが、いわゆる「普通の家庭、普通の子育て、愛情のかけ方、かけられ方」というものを全く知らずに育っています。こんなにもひどい親(事件の犯人ではなく、犯人の親のこと)ひどい家庭があるものかと驚くばかりでした。

犯人たちの行動は絶対に許されないけれど、その犯人たちを育てた親にも責任があるとしか思えません。でももしかすると、その親のまた親から、というふうにずっと前から連鎖してきたのかもしれない....。

ウサギ小屋ケージ事件の妻が、刑務所にいる夫に送った手紙(本のプロローグに出てくる)を読んでもわかるとおり、犯人たちは子どもや家庭に対する愛情が皆無だったわけではないのです。他の犯人たちも同様でした。

我が子を愛せない親なんてこの世にいるの?と、いち母親としての私の疑問に対しては、「愛せなかったわけではない」という答えが見つかる。でも、事件は起きてしまいました。

自己中心的な考え方をすれば、世の中にはこういう人(人の心がわからない、何を考えているのかわからない、何を言っても通じないし理解し合えない、違う世界の人たち)もいて、自分には関係ない、一生関わりたくないし、自分じゃなくてよかった、と思って終わらせることもできます。

けれど、それでは社会は良くならない。経験したことのないことに対する想像力を補う上でも、こういったことは多くの人が知っておくべきだと思いました。

とにかく、この世代間の異常な成育環境の連鎖をどこかで断ち切らなくてはならない、と思います。

 

■少しの差で救われたかもしれない、エピローグ

この本は、全くの暗い気持ちのまま終わらず、少しの光が差し込むような気持ちで読み終えられる構成になっているところもすごく良かったです。

エピローグでは、特別養子縁組を支援するNPO法人「Babyぽけっと」の話が出てきます。様々な事情から望まれな妊娠をしてしまい、中絶できずに出産する妊婦と、子を望み養子を迎え入れる夫婦とをつなぐ場所。

この章に出てくる妊婦さんも、一歩間違えば事件の犯人になってしまっていたかもしれない、と思うほど危うい状況に置かれていました。でも、ふとした偶然で「Babyぽけっと」にたどり着き、子どもを適切な場所に導き、自分の人生を立て直すきっかけを与えられたのです。

私も自分が不妊治療をしていた経験から、子どもを望んでも叶わない夫婦がいることや特別養子縁組のことには以前から興味がありました。課題はあるにせよ、社会が良くなるために必要な仕組みだと感じています。

もっともっと、このような仕組みが広く知れ渡ると良いです。そして、必要な人のもとに必要な情報が届くことを願います。


微力な自分だけれど、このブログがこの本を多くの人に読んでもらうきっかけになると良いです。残酷な事実、けれど知っておくべき現実なんだと思います。

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