こんにちは、Nami(@nami_mercaru)です。
日本は世界的に見ても自殺率が高く(世界各国の自殺率ランキング 日本は先進国でトップ)、大きな社会問題にもなっています。
また、芸能人の自殺のニュースが大きく取り上げられたりして衝撃を受けたことがある方も多いのではないでしょうか。
私自身は、これまで自殺願望を持ったことはなくて、特に子どもが生まれてからはむしろ絶対に何があっても死ねない!と思いながら生きています。
自殺したいと考えてしまう人の気持ちを知りたいし、どうしたら自殺が減るか?ということも考えている中で、自殺の問題を解決するために、たった一人で「いのっちの電話」という相談の電話を受けている坂口恭平さんのことを知りました。そして、坂口さんが書かれた「いのっちの電話」に関する本「苦しい時は電話して」という本を読んでみました。
■坂口恭平さんについて
著者の坂口恭平さんの肩書きはユニークで、本のプロフィールには「建築家、作家、絵描き、歌い手、ときどき新政府内閣総理大臣」と書かれています。Twitterでの彼の発信を見てみると、絵をたくさん描いて売っているらしいことがわかるし、その他にも文章をたくさん書いたり、畑で野菜を育てたり、かなり自由そうな感じ。
そして、本の冒頭にはいきなり坂口さんの携帯電話番号が書いてあります。「いのっちの電話」という、死にたい人であれば誰でもかけることができる電話サービスを無償で自ら進んでやっているとのこと。
本家本元のいのちの電話がほとんどつながらないという現状を知って「自殺者をゼロにしたい」という思いから2012年に始めた「いのっちの電話」では一年に2000人の死にたい人からの電話をもう10年も受けているそうです。すごい。
坂口さんは、ご自身も躁鬱病の診断を受けていて、死にたくなった経験があることから、死にたいと思う人の気持ちがよくわかるみたいです。
■死にたい人の考え方
坂口さんは「死にたい時は、みんな毎回全く同じ状態」だと言っていて、電話をかけてきた死にたい人の思考回路はご自身が死にたくなった時と非常によく似ているそう。
死にたい時というのは、何でも反省してしまっていて、自分が悪いと思い込んでしまうみたい。そしてその状態から抜け出すことはもうできない、とも思ってしまう。死にたいと思うのは妄想なのに、妄想だと気づけない。
でも、坂口さんは実体験から「この状態が死ぬまで続くのではなく、必ずやまた抜け出して、健やかに過ごすことができる」と言い切っています。
この本、基本的には死にたい人に向けて書かれた文章になっていて、その状態からどうしたら抜け出せるかのアドバイスが書いてあります。死にたくなったことがある経験者だから書けるし、だからこそ、アドバイスとして響くものになるのだろうと思います。
例えばこんな感じで具体的なアドバイスが書いてあって、ほんと、死にたい人にはぜひ読んでほしいと思いました。
・今、自分が気持ちいいかをどうかを確認する
・体が気持ちいい、と感じることをやってみる
もし私の身の回りの大切な人が死にたい、と思うくらい辛い状態だったとしても、死にたくなったことがない自分に何が言えるのか?何ができるのか?と疑問。どうにかしてこの本に出会って読んでくれないかなって思います。
■いのっちの電話から
「いのっちの電話」でどんな感じで話をしているのかの事例も載っていて、そのうちの2つが素晴らしいなと感じたので紹介します。死にたくなってなくても、自分が本当にしたいことは何だろう?と悩んでいる私にも、参考になる内容でした。
1つ目は死にたい高3の受験生の話。
両親が大学に行ってくれというので受験勉強をしているけど、本人はやりたくなくて辛いらしい。でもやらないと両親を失望させてしまうからがんばっている。
こういうケースを聞くと、特にこの時期の子どもって辛い時に親になんか絶対相談してくれないんだろうなと...
むしろ親の存在が子を苦しめるケース、結構あるんじゃなかろうか。私も親の立場として心配になります。
坂口さんが話を引き出してみると、この受験生はアニメが好き。
坂口さんは好きな建築家に学びたいと思って早稲田大学の理工学部に進学した、というエピソードを出しつつも、相談者が「新海誠監督に学びたい」と話したことから以下のように思考を前向きに持っていったのにはひたすら感心しました。
新海誠監督に学びたい
→有名すぎる。監督の所属会社の求人をみたら?...今見たけど定員に達してるねぇ..アニメの何をやりたいの?
→音響に興味がある
→やりたいこと細かく見えてるじゃん!新海誠さんの映画の音響は山田陽さんという人がやっているみたいだから、明日そこに電話してみなよ。電話番号は自分で調べたら?死にたいとかそれどころじゃないね、高校生だから無給でもいいんで現場見せてください、って言えば相手が面白い人なら何とかなると思う
→はい、まず電話して見ます!
もう一つの相談事例は、今の仕事は辛いけどジャズが好きでジャズ喫茶をやりたいという会社員。
それに対して坂口さんは、すぐジャズ喫茶をやろうとすると重荷になりすぎるから、趣味にしないで真剣にジャズ喫茶をやることを考えてみる、ジャス喫茶の企画書を作ってみては?と提案。そのやり方が以下のように具体的すぎて面白い。
・歩いて空き店舗を見つける
・朝、昼、夜の様子を確認して時間が経つごとにどんな変化が起きるかを確認してみる
・不動産屋に行って本気で借りる人のフリをする
・図面をもらって、中に入って実寸を計測したいと言えばそれも可能 。 しばらく経って他の物件に決めちゃいましたとか言えばいい
・内装もできるだけ細かく決める
・他のジャズ喫茶を視察する
・初期費用を計算する
「この企画書づくりを毎日一時間でいいから実践してみる。毎日少しの時間だけ、しっかり充実させる。毎日一時間だけでも1番やりたいと思ってることをやり続けていると全身が喜びを感じると思うよ。これはもう趣味を超越してる。一番の生き甲斐になりそう!」
とアドバイスすると相談者もすっかりその気に!
「やりたいことがあったら企画書を作ってみる」って、本当にすごく楽しそうだな、と思いました。企画書を作るだけなら技術もお金も仲間も、何もいらない。しかも自分が1番やりたいようにできます。死にたいほど悩んでいる人ではなくても、少しでもやってみたい、と思うことがあればそのことの企画書を作ってみたら、本当にやりたいかどうか、が見えてきそうです。
この話の流れで、坂口さんは「死にたいと思う人の多くは、何かをつくることに向いているのではないか?」とも言っていました。「苦しむことができる力は、言われた仕事をただそつなくこなす作業には向いていないけど、ここにないものを生み出す時には逆にとても大きな力になる。」と続いていて、確かに悩みや悲しみ、悔しさといった負の感情が何かを生み出す原動力になるということはあるだろうなと思います。
この本、最後も坂口さんの電話番号で終わっていました。
死にたい人も、死にたい人の気持ちがわからない人も、読んでみる価値がある一冊だと思います。
