こんにちは、Nami(@nami_mercaru)です。
木嶋佳苗(首都圏連続不審死事件)事件をモチーフにした「BUTTER」という小説の読書記録です。
ストーリーはさることながら、次々に登場する食べ物の描写がすばらしくて、食にこだわりたい思いが強くなるような小説でした。週刊誌の女性記者を中心とした登場人物の人間模様も面白かったです。
■あらすじ
『結婚詐欺の末、男性3人を殺害したとされる容疑者・梶井真奈子。
世間を騒がせたのは、彼女の決して若くも美しくもない容姿と、女性としての自信に満ち溢れた言動だった。
週刊誌で働く30代の女性記者・里佳は、親友の伶子からのアドバイスでカジマナとの面会を取り付ける。だが、取材を重ねるうち、欲望と快楽に忠実な彼女の言動に、翻弄されるようになっていく―。読み進むほどに濃厚な、圧倒的長編小説。』
「カジマナ」という容疑者の名前の設定が「キジマカナエ」と微妙に似ていて絶妙!
カジマナは全く美しくもないのに沢山のお金持ちの男性とお付き合いし、優雅な生活を送っていた。そして、その優雅な生活で美味しいものを食べ慣れていて、とにかく食に対するこだわりが強い。
そんなカジマナとの関わり合いが、仕事で忙しく、全く料理もせず、食にこだわらなかった週刊誌記者、里佳の生活を変えていきます。
■登場した食材で食べたくなるもの
まずはなんといっても、タイトルになっているバター!
里佳が初めての面会でカジマナに薦められて食べてみて感激したエシレのバター。これをバター醤油ご飯にして食べる場面の描写がすごく、食欲をそそる...
また、エシレよりは安価に買えるカルピスバターも登場。
食にこだわりたい欲、いいものを味わって食べたい欲がこの本を読んで増してきました。この二種類のバターは近々ぜひ食べ比べをしてみたい。
そして、もう一つバターに絡めて登場したのが「銀座ウエストのクリスマスケーキ」
ウエストの焼き菓子などは良く目にするけれど、クリスマスケーキのことはこれまで全く知りませんでした。こちらもいつかは食べてみたいな~。
カジマナが通っていたという有名な料理教室に、記者の里佳が潜入する場面もあります。そこで話題になった料理で印象的なのが「七面鳥」。冷凍された七面鳥を冷蔵庫で3日間かけてゆっくり解凍し、大きなオーブンで焼きます。
夏にキャンプで友達が作ってくれた、丸鶏のダッチオーブン焼きがすごく美味しくて、それを思い出しつつも、この本格的な七面鳥を料理することにも憧れを感じました。
■里佳を取り巻く人間模様
シンブルマザーとして里佳を育ててきて、高齢の今もハツラツとセレクトショップで働くお母さん。広報としてのキャリアを持ちながらも結婚して不妊治療に専念している里佳の親友の伶子。友達のような長い関係の彼氏や、会社の同僚に、謎に里佳にスクープ情報を横流ししてくれる男性など、里佳のまわりの人間関係と、次第にその関係が変化していく様子もおもしろかったです。
恋愛のドキドキするような要素も少し垣間見れて、それも小説の醍醐味という感じで良かったです。
■女性の生き方、働き方
自分の生活をかえりみずに、がむしゃらに仕事をしてきて、女性初の「デスク」(マスコミ業界で記者を統括する高い役職の一つのこと)になれそう、というところまでキャリアを積んでいる里佳。話の中で、今まで興味のなかった食にどんどん興味を持つようになり、料理までするようになって働き方も少しずつ変えていきます。
対象的に里佳の親友の伶子は、結婚を機に仕事をきっぱり辞めてしまう。私自身も不妊治療経験者なので、伶子が治療のために病院に通う様子や、治療の件で夫との関係が難しくなる様子などはすごくよく気持ちが理解できました。
登場人物たちの悩みや葛藤を読みながら、自然と自分に照らし合わせて振り返ることにもなりました。こうした、女性特有のキャリアアップのスピードダウン、中断などについても考えるきっかけとなり、それも良かった点の一つです。
Amazonだと文庫本が1,45円、メルカリだと500円ぐらいで購入できます。
食べ物やお料理好きの女性は特に、とても楽しめる小説だと思います。

